新しい場所、新しい人
弥生さんとの件も終わり、何年ぶりかの寂しい彼女無しの生活に戻ります。
2-1話です。
終わったかと思いきや、やっぱり終わり。 - クーロンの自分語りブログ
前回の話はこちらです↑
…とは言え、相変わらずチャットばかりしているのは変わらないのですが、利用していたチャットサイトは常連同士の些細な喧嘩から派閥争いに発展し、空中分解となりました。
今も昔もネットだけで雄弁を振るう人種は変わりません。
きっかけは入室の時に挨拶をしてほしいだの、ハンドルネームの次に「さん」を付けるだのそんな言い合いからだったかな…。
バカらしいので僕は無派閥でしたが…。
そして、平和で優しい世界は作れないかと考える様になり、他のチャットサイトに移りました。
そこで自分の専門分野であるゲームに関する部屋を作成。
ネット上で新しい友達を作ろうと思いました。
やる事と言えばチャットルームを作成するだけで、特に他の部屋へ行く等の勧誘もせず、地道に活動する事数週間。
中学生、高校生、社会人、様々な年齢層の常連さんをゲットし、毎日10人くらいでガヤガヤと話をしていました。
常連さんの中で、川本(仮名)という女性がいました。年は26才で婚約者と同棲している方です。
彼女は、ほとんど毎日、しかも1日中チャットルームに入り浸りでした。
何故1日中と分かるか?自分も家と会社両方で入り浸っていたからですw
ずっと話をしていると、ネタが尽きるので、家庭環境や仕事、悩みなどの話にシフトしていき、アニメ制作事務の仕事をしていましたが、1年以上休業中との事。
「何の病気なの?」
まぁ仲良くなったし聞いても良いよな…と思い聞いてみました。
「持病が2つあって…、でも何の病気かは嫌われたくないから言えない。ごめんね。」
ふーむ、まぁ言いたくないなら無理には聞かない。
「でもね、病名は言えないけど、先月に死亡率10%の病気になっちゃっててね。」
「10%!?そりゃ大病だ!」
「起き上がる事もできなくて、オムツしてずっと寝たきりだったんだ。」
「…でも、今自宅にいるって事は治っているんだよね?」
「本当は入院しなくちゃダメなの。でも独りぼっちで入院するのは嫌だから、2週間に1回通院してるの。」
…そりゃ大変だ。
でも、そんな病気を通院・投薬のみで過ごすのであれば、完治はいつになる事やら。
婚約者がいると言う事で、艶っぽい話に進展する事は無く、毎日ダラダラとチャットをしていたのですが、どうも川本から気に入られたらしく、2人でオフ会をしたいと誘われるようになりました。
お誘い自体は嬉しいのですが、死亡率10%の病気から一か月しか経っていない人と会って、途中倒れられても責任が取れません。
「病気が治ったらね。」
とやんわり断り続けていました。
それから一か月、川本は体調が良くなっている事を言っており、復職する日を楽しみにしていました。
そんなある日、
「川本ね…会社クビになっちゃった。」
「え、なんで?」
「会社の別部署の人が産休を取っていたんだけど、復帰しようとしたら、その職には仕事が無い状態で、川本が戻ろうとしていた職場に移転したんだって。なので、川本は戻る場所が無くなったのでクビだって…。」
…酷い会社もあるもんだ。
いや、中小企業ならそういう物なのかもしれない。
「でも、体も良くなってきたし、早く働きたいな!」
「他のアニメ会社受けてみれば?」
「うーん…アニメ会社はもういいや。以前やってたDTP関連の仕事でもやろうかなぁ。」
「DTPか、良いかもしれないね。」
「あとね…クーロンには教えるけど、川本は悪性症候群って病気だったの。」
悪性症候群???
改めて、本当に重い病気だったのだな、と思いました。
恐惶謹言
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