邪推は肥大するもので
2-31話です。
とにかく辞めるらしいです。
前回の話はこちら↑
川本の彼氏が会社を辞める事は確定らしく、かと言って何もこちらからは話す事も無いので、比較的平和な日々が過ぎます。
彼氏の実家はそれなりに裕福らしいので、次の会社を探す迄の生活費には困る事は無さそうです。
そして、ゆっくりと、「今までみたいに忙しい会社じゃなくて、早めにあがれて土曜日休めるような会社」を探すとか。
そんな中、川本は猫が飼いたいと言い出します。
もともと飼いたいと言っていましたが、妹が最近ペットを飼い始めた事について触発されたらしく、ペット禁止のマンションなのにも関わらず熱望しています。
マンションは賃貸である以上家主の所有物。
部屋が空いた後のリフォーム代は家主が出すものだし、何より家主にペットが見つかった時、ペットを手放さなければなりません。
その時一番被害をこうむるのは、他でも無いそのペット。
人に飼われる事に慣れたペットが野生に入れる訳も無く、里親に出されたとしても、環境の変化に対応するのはたやすい事では無いでしょう。
まぁ、隠れて飼っている人を非難する訳ではありませんが、自分がペットを飼うのであれば、ペット可の部屋に初めから入りたいと思っています。
なので、川本にはペットを飼うのは反対の旨を伝えました。
だけど、彼氏も賛成の様子。事情が事情なだけに、すぐと言う訳ではなさそうですが、ペットを飼うのは確定みたいです。
その翌日。
メッセンジャーでは無く、チャットルームに入りました。
皆の挨拶の中、川本の挨拶がありました。
「おかw」
「いや…」
「おか♪」
!!!
彼氏がモニターを見ていると言うサインです。
(言うまでも無いかもしれませんが「おか」とは「おかえり」の略です。)
そして、その後唐突に川本の発言がありました。
「クーロンに聞きたいんだけど、お奨めの風俗ってある?」
…は?
会話の中に「♪」を入れるというサインがあったので、彼氏が言わせているのは確定。
…が、その真意が分からない事には迂闊には答えない方が良いと思った為、曖昧な返事をしながら時間を稼ぎ、どう答えるのがベストか必死に推理しました。
とりあえず、暫くは返事をしないで発言を見なかったかのようにしていましたが、執拗に聞いてきます。
正直に「風俗は詳しく無いので分からない」と答えると、今度は「風俗行った事ある?」と質問を変えてきました。
薄々意図は勘付きましたが、質問にはスルーです。
一緒にチャットルームに入っていた人もスルーで進行しています。
このモヤモヤした状況が嫌になってきたので聞いてみました。
「…で、なんで川本は風俗の話にこだわるの?」
「彼氏が聞けって…。今お風呂行ったけど…。」
偶然にも、良いタイミングで聞けたようです。
「彼氏に言わされてたのは分かってたけど聞いてどうするつもりなの?」
「同じ事が起きないかチェックしたかったんじゃないんですかね?」
おもむろにたっちゃんが言いました。
たっちゃんは、自分とさき5との事をある程度は知っています。
同じ事…?
つまり、さき5との事は、僕が彼女もいなくて悶々としている状態だから起きたと言う事で、風俗でも行ってスッキリしたら?って事?
余計なお世話だ、と思っていると
「なんか病気もってないか、心配なんだって。」
「…僕が?」
「うん。」
!!!
発言の意味を理解するのに、さほど時間は必要無く
「うわ。すっげぇ頭に来た。」
怒り心頭でワナワナ震える手では、これだけ発言するのが精一杯でした。
恐惶謹言
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