なんだかややこしい話に
2-22話です。
川本の彼氏とのチャットが続きます。
前回の話はこちら↑
「人格が増えたのは何かきっかけがあったんですか?」
「きっかけは分からないです。」
「お医者さんは、どのように治療を続けているんですか?ただ安定させるだけのものですか?」
「気長にって感じでしょうか。実際に時間はかかりましたが、病状はよくはなっています。死にたいとかそういうことをまったく言わなくなりましたし、鬱状態もほとんどなくなりました。」
「チャットでだいぶ救われた、と言う事は言ってはいましたが、人格が増えてしまっては…。」
「そこがなんとも言えない部分です。」
「7番目が出る可能性もあるんですよね。」
「無くは無いです。ただチャットを通じて彼女が明るくなったのは確かです。」
明るくない川本と言うのが全然想像できないのですが。
「現在さき6が出たくない状況だと聞いてます。さき5から好意を持たれているのは分かるのですが、それを無下に断ってしまってショックを受け、さき5が出たくない状況になってしまうと、今度川本がショックを受けた時に、さき7が発生する可能性は高いと思います。かといって、交際をOKするつもりもありませんが…。」
「今までどおりのチャットづきあいやたまのオフ会などを続けてもらいたいと思っています。迷惑な話かもしれませんが、よろしくお願いします。一番最初の質問はたいへん失礼な質問でした、すみません。」
「いえ…それは構いません。逆の立場だったら、僕もしていたと思いますので。」
「前お話したときを同じ結論になってしまいますが、これからもよろしくお願いします。」
「はい。」
「いろいろお気遣いありがとうございます。」
そして森さんが席から離れ、さき5が席に着いたようです。
「殺伐とした話では無かったよ。」
「確かに…殺伐とはしてないですね。むしろスッキリした感じ…。」
「良心が痛む」と言う言葉をこれほど痛感した日もありません。
「川本には言ってしまったから。」
「え……。」
「記憶に残ってたよ。」
「えぇ??川本怒ってませんでしたか?」
「全然。驚いてはいたけど。」
「全然…。」
「別人格だからしょうがないって。」
「寛容…ですね。」
「逆の立場だったら、って考えてるよ。」
「川本…優しい…私だったら、そこまで寛容にはなれない…。」
「じゃあ…例えば、僕と川本がHしたとしたら?」
「嫉妬します…。」
同じ体の中に住まう異なる人格。
人格が異なれば、考え方も異なるのは当然の事なのでしょうか。
嫉妬する、と言う感情がもっと高まれば葛藤が生まれ、さき5が勝ってしまえばメイン人格の交代が行われるのでしょう。
幸いに(?)川本は、彼氏が一番好きなので、その心配は無いのですが。
「前に聞いたかもしれないけど、部屋を片付けられないってのはさき5も同じなの?」
「はい。なぜか…ゴミをゴミ箱に捨てられないんですよ。」
「同居人さんも大変だな…。」
「だいぶ迷惑をかけていると思います…。」
「そこまでしてくれてるんだから、裏切っちゃダメだよ。」
「でも…私の好きな人はクーロンさんなんです…。」
困っていいのやら、喜んでいいのやら。
「でも養ってもらっている訳だし、恩を仇で返すような子は嫌いだよ。」
「嫌い…ですか…。では養ってもらうのを止めます。」
養ってもらうのを止める、って…、まさか?
恐惶謹言
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