ボロは出さないように…
2-15話です。
冷静に考えればバレない訳が無いのですがバレたかもと思って焦っていますw
前回の話はこちら↑
「は?唇が柔らかいって…?」
焦る気持ちを抑えながら、とりあえずとぼけてみます。
「あ、ごめん。記憶障害みたい。」
…ほっ。
とりあえず誤った記憶がある、と勘違いしたらしいです。
下手に思い出されても厄介なので話を逸らします。
「さき5のタバコの吸い方は、川本にそっくりだったよ。」
「タバコ吸うの?…へえ…知らなかった。」
さき5としては、タバコを吸うのは本意では無く「川本が吸っていて体がニコチンを欲しているから」仕方なく吸っている感じでした。
川本とさき5共に、煙を思いっきり吐くタバコの吸い方でした。
そして心も落ち着いてきて、本題を聞きます。
「川本は、さき6の存在を消そうと思えば消せるものなの?」
「川本は無理だなー、もっと上の人じゃないと。」
「じゃあ、今は事実上無理って事か。」
「川本は、あんまり権力無いし。でも、まぁ必要だから作られた筈だし、さき1がいらないと思えば消えるんじゃないかなあ。」
「ふむふむ。」
「川本は人付き合いの為に作られた人格だしさき5、6にも、それなりに意味があるんじゃないかなあ。」
「ちひろも必要があったって事?」
「多分…。」
「さき5が言うには、ちひろは怖くてわがままなお姉さんって言ってたな。」
「ちひろは感情を抑えない為に生まれた人格かも。」
川本としては、「人格は必要に応じて追加発生するもの」と言う認識のようです。
それではこれから一生人格が増え続けて大変なんじゃないかとも思うのですが、川本の発言は不思議と筋が通っているようにも思えるので何となく納得して話を聞いてしまうのでした。
現在さき6は表に出たくない状態になっている事。
(理由を聞けば、数日前にさき6に変わり、怖い思いをしたから「お外は怖い」と言って(思って)いるらしい。)
なので、何かのきっかけで人格が変わるとすれば、かなりの確率でさき5になるであろう事、等など。
まぁ、さき5になったとしても、特に困ると言う事は無いと思う…多分。
とりあえずは人格を変えないように気を使えば良いのだろうか、と思っていると
「あのね。さき5が外に出れるなら声優目指してもいいって。」
と、唐突に川本が発言しました。
「随分と前向きになってるな…DTPデザイナーに戻りたいと言っていたのに。」
「それほど出たいんでしょ。書置きに書いてあった。
(クーロンさんに会えるのなら声優目指します)って。」
書置き…そんな事をしていたとは、ちっとも知らず
「複雑な気持ちだなあ。書置きってよくするの?」
「あんまり。でも、どうしても伝えたい事がある時とか。」
次に目覚めた時に自分はいないかもしれない。
いや、いない可能性の方がはるかに高い。
そんな感情の中、必死に書き置きをして伝えようとしている光景を想像すると、何とも言えない気持ちになります。
「クーロン愛されてますなあ。」
「告られたからね。」
「ははw」
「複雑な心境ですわ。」
「体がもう一つあったらね~、問題無いんだけど。」
それだったら問題あるも無いも、普通の恋愛話になる訳ですが。
それから後は、さき5と会った時の事をもう少し詳しく説明し、彼氏とのHの事を聞いたなんて言ったら「セクハラ星人め」等と言われたりしつつその日のチャットはお開きとしました。
恐惶謹言
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