対峙
2-12話です。
何故か川本の彼氏とチャットする事に。
前回の話はこちら↑
「突然でほんとすみません。」
おそらく、これからは彼氏の発言なのでしょう。
「何から話せばよいのか整理がつかないまま話してしまっているので分かりづらいかもしれませんが、さき5と6はチャットにより発生しております。」
無難に「はい。」と返答。
「さきが後ろで気にしていますので先に言いますとチャットを禁止するつもりはないです。」
さき5が後ろでハラハラしながら成り行きを見守っているようです。
どうやら、チャットを禁止にしてしまい、関係を絶たれてしまうのでは…と、思っているのでしょう。
「クーロンさんは、さき5や6に代わるきっかけにお気づきでしょうか。」
きっかけ…と言われて、記憶を辿ります。
「えと…、5は全く覚えがありません。6は、ちょっとチャットで注意した時に初めて出たと思います。」
「実はそのちょっとがきっかけとなっております。さき4(川本)は感情の赴くままにしゃべります。ストレートに物事を言いますし逆にテンションが高まると過剰な発言をし出します。」
「当然、それは叱るべき部分でクーロンさんは当然の事をしたことになるのですが、さき4にとってはとても大きなことなのです。叱られたくない、嫌われたくないという気持ちが別人格を発生させてしまいます。すみません、発言をどうぞ。」
なるほど…、人格が変化する要因はこういうものだったのか、と妙に関心してしまいましたが、まずは自分の思う事とやってきた事を述べました。
チャットルームには常連の人もいて、川本の暴言を見過ごしていては部屋の雰囲気が悪くなってしまう事。
川本の病気について、常連には正直に公開していてチャットルーム自体はパスワード制にしていて、不特定多数が入室できないようにしている事などなど。
「ただ…、森さん(彼氏の姓、仮名)はどのようにお考えですか?このままチャットをしていても、状況は改善はされないと思いますが。」
「とても難しいです。ただ禁止することのほうが悪い状況を作ることになるかと思っています。クーロンさんにはいろいろご配慮をいただいていることは、さき4から聞いております。」
とりあえず紳士的な内容に安堵しつつも、最終的に何を言いたいのかが謎なまま、メッセンジャーでの会話は続きます。
チャットをしていた事によって発生したと言う「さき5」と「さき6」。
彼にしてみれば人格が増えて嬉しい筈がありません。
何しろ、さき5にいたっては、自分を彼氏と認識していない訳ですから。
彼としては、これ以上人格を増やさないように配慮して欲しいという事なのかな?
しかし配慮するにしても、絶対注意しないと言う保証はできないしそれはとても面倒な事になってしまいます。
「チャットについては、問題はおきないとは思うのですが、やはりいくつかは注意点は発生してしまうと思います。それを黙認してほしい、と言うことなのでしたら、チャット自体を控えるようになさった方が良いと思います。」
「本人はやはりチャットが好きと言っておりまして、止めさせる事はできません。今後とも仲良くしていただきたいのですが、さっきクーロンさんが言っておられたように問題が発生してしまい、彼女自身が困る状態になります。」
「さき4(川本)は声優になりたいと、さき5はDTPデザイナーになりたいと言っており、そこに問題が発生します。さき5は声優の授業に出ないという可能性があります。そうなると困るのはさき4となります。生きる目的や夢が異なっているのです。」
とりあえずは「今度とも宜しく」的な内容であったと言う事にほっとしました。
ただ、川本とさき5、それぞれの将来展望についての違いについて、現状さき5は自ら養成所に通っているので、全く声優の道を拒否している訳では無さそうであり、彼が思う程の危機感を感じる必要は無い、と思いました。
そして、これはめったに無い機会だと思ったので、今まで疑問に思っていた事を聞いてみました。
恐惶謹言
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