そして修羅場?
2-9話です。
さき5がまさかそんな事を言うとは夢にも思わなかったのですが、とりあえず事の経緯を聞きました。
前回の話はこちら↑
「さっき同居人が帰ってきて…私には好きな人がいます。って言ったんです。」
「それで聞かれたから答えた、と?」
「…始めは言わないようにしたんですが、しつこく聞かれるものですから…。」
「それで同居人は…?」
「とてもショックを受けていました。」
「…だろうねえ」
「はい。それで川本は俺の彼女だから渡さないけど、さき5がどこで誰と会おうが干渉はしないと言いました。」
「…大人だねえ」
「…あ、同居人がチャットで話したいそうです。」
…何も悪い事してないのに心臓バクバク!!
「…い、いいよ、話しても(滝汗)」
「でも、なんか頭の中が混乱しているからやはりいい、と言ってます。」
6年付き合った彼女の口から、他に好きな男ができたと言われたらそりゃあショックだろう…。
そんなこんなで波乱の日もそろそろ早朝になろうかと言う時間になり、就寝しました。
そして翌日の昼。
今までは他の人格に変わったとしても、翌日には元に戻っているのが普通です。
一通の携帯メール着信。発信者は川本。
「クーロンさん…好きです。」
このメールは、どう考えても川本が送ったとは思えない。
と、言 う 事 は、
起きた後もそのまま「さき5」の状態なんだ!
起きた後も人格が戻らない。
一体どういう事なのか疑問に思ったので電話をしました。
話を聞けば、起きたら「さき5」のままだった。
川本との共有記憶の中から、今日がダンスレッスンの日だと言う事は分かっていたし、川本が一生懸命通っている以上、自分としては身代わり(正確には違うが)として、通うつもりだ、と。
「ダンスレッスンなんて受けた事無いし、バレたら大変でしょ?休んだ方がいいよ?」
「いえ…もう養成所の中に入ってますし…大丈夫ですよ。」
あぁ…バレたら絶対問題になると思うんだけどなあ…。
でも、ここで説得をしても無駄だろう。
「…今日会わない?」
養成所の方は、バレない自信があるんだろう。
何よりも「本人」なのだからバレるバレないも無い訳で。
それに、次にさき5がいつ出てくるか分からない。
昨日の同居人への発言もそうだけど、あまり素直に物事を言うのは問題を起こしそうだし、何よりさき5と会って実際に話をしてみたかったのです。
「えっ、本当に会ってくれるんですか?」
事の重大さに気づいていないような、なんとも歯がゆい反応ですが、とりあえず養成所の後に会う事を約束。
それから新宿に移動。時間前に着いたので先に待ち合わせ場所で待っていました。
そして、待ち合わせ時間頃に、さき5からメール着信。
「今新宿駅に着きました。今から向かいますね。」
川本とは何回も会っていますが、さき5とは初対面。
さて、どんな感じになるのだろうか。
心の中では密かに多重人格もさき5の事も全部嘘だったらいいのにな、なんて淡い期待を抱きながら、人ごみの中に「さき5」を見つけ出しました。
恐惶謹言
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