果たして合否は?
2-6話です。
試験の結果発表が近づくにつれ、チャットルームでの川本の発言も微妙に変わってきました。
前回の話はこちら↑
「不合格だったら、大人しくDTPデザイナーにでもなろうかなぁ…」
当初は「絶対声優になる!」と豪語していましたが、やはり面接での悪評価とも取れる対応が心に残っているらしいです。
「やるだけやったんだから、後はプロの判断を待とうじゃないか。」
と励ましながら、結果発表の日を迎えます。
発表の日、携帯が鳴りました。
川本からです。
「…もしもし…クーロン?」
「うん。」
「……ひっ…うっ…試験不合格だって…」
…あぁ…ボロ泣きです。
「…そっか、でもやるだけやったんだから、スッキリしたでしょ?」
「スッキリしないよ!不合格だったんだから!」
…んな事言われて、何を言えっちゅうねん…
…こんなんで人格変わられてもしょうがないしな…。
「ハーイ!ボクミッキー!」
「!?」
「川本チャンハ頑張ッタヨ!元気出シテネ!ハハッ!!」
「………、あはははは!!!」
…ふう、笑い声が聞こえたので一安心か。
「ありがとうクーロン!元気が出たよ!」
「世界のミッキーが励ましてくれたんだから元気でたでしょ。」
「うん!」
そして夜になり、チャットルームで皆へ結果報告。
たくさんの慰め、励ましを貰い、更に元気を取り戻したようです。
「まぁ養成所試験もやるだけやって良い思い出になったし、これでDTPデザイナーでやっていく踏ん切りもついたでしょ?」
「ううん、川本、また養成所の試験受けてみる!」
…はい????
「また受けるってぇ!?」
「うん!絶対あの試験官が悪いと思うし、川本諦めないよ!」
以前に、一度落ちて再試験を受ける事は可能だが、再合格する可能性は極めて低い、と言うのは聞いていました。
それを知らないチャットルームの仲間は、皆再試験を応援しています。
実は前回の不合格通知が来た時に、あまりのショックの為に人格が変わってしまった事を聞いている自分は素直に応援する気にもなれず、ただ見守る事のみに終始していました。
次回試験は翌週。
それが今期の試験日程最終日なので、それに落ちれば否応無く来年迄試験はありません。
他の養成所の話も無い事は無かったのですが、やはり行くなら大手の「N」だろうと固執していました。
合格すれば同じチャットルームの仲間が同級生になる訳ですから。
そして翌週の試験の後。
話を聞いてみると、試験には確かな手ごたえを感じているようです。
筆記試験も問題無し。
面接も問題無し。
さて、結果はどうでるか。
前回と違い、今度はどうやって慰めようかと考えていました。
奥義の物まねはもう使ってしまったし、今度は…。
と、邪な悩みを考えながら、またもや結果発表の日がやってきました。
そして昼過ぎに川本からの電話が来たので、ドキドキしながら出ました。
「結果どうだった?」
「うん…あのね…」
いや~な間を数秒置いてから…
「受かった!受かったよ!!合格通知が来たんだよ!!!」
「嘘ぉ!?」
恐惶謹言
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