彼女の家は呪われている?
2-5話です。
さて、川本の中にいる何人もの人格について、「ショックを与えなければ変わらない」というルールが分かった事でとても気が楽になりました。
前回の話はこちら↑
そんな川本は声優養成所を色々調べた結果、Nという養成所を受ける事にしました。
世の認知度は高く、有名な声優を世に送り出しており、チャット仲間のたっちゃんが入学を決めているところでもあります。
…とは言え、試験に向けて何を勉強したら良いか分からずダラダラとチャットの日々。
そんなある日、川本が相談を持ち掛けてきました。
「川本の妹なんだけど…、ソープで働きたいと言い出して…何とか止めさせたいんだけど…。」
妹さんは現在キャバクラで働いています。
「キャバクラでも十分収入があるだろうに、何故ソープ?」
「整形して、ホストに気に入られたいんだって。」
…ん?考えてみたら、先月秋葉原で付き添いをお願いした時も整形だったような。
妹さんは数か月前に寂しさを紛らわせるために「しんちゃん」と言う出張ホストを呼びました。
一度だけ、と思いながらもホスト遊びにハマってしまい、稼ぎの大半がホストへ流れます。
先月の整形手術もしんちゃんの為だったのですが、整形後の顔を見せたところ
「前の顔の方がよかった」
と言われてしまい、更なる整形をしたいとか。
(ホストってとにかくベタ褒めして、客を離さないものじゃないのか?知らんけど)
まずはホスト遊びを止めるように言ったらしいのですが、がんとして譲らず。
こんな感じで、川本の家族の話は続くのですが、なんと家族それぞれにお悩みポイントがありました。
家族構成とお悩みはこんな感じ。
父…鬱病
母…既に他界
長女…川本 多重人格
次女…仕事を辞めたがっている
三女…ホスト遊び
長男…小6で女性になりたがっている
なかなかにお悩み一家です。
御祓いしてもらった方がいいんじゃないかと思い、チャットメンバーの知り合いの霊能力者に相談してみたところ、家を建てる時に地鎮祭をやらなかったのが原因じゃないかとか話が出ましたが、そんなのをやりなおす訳にもいかず、
「どうにもならないねぇ…」
とみんなで悩むだけ悩んで結果が出ないまま、川本が養成所の試験を受ける日が来ました。
試験の日は婚約者も付き添うらしいので、一安心。
夕方過ぎに携帯電話が鳴りました。川本からです。
「あ、クーロン?今試験終わったよ~!」
「試験どうだった?」
「筆記はほぼ完璧だと思う!早稲田出身だから楽勝!…でも…。」
「でも、どうしたの?」
「面接なんだけど…試験官のおばちゃん、明らかに男女差別だよ!男の子ばかり質問して、川本にはほとんど聞いてくれないんだもん!」
「聞く事無いくらい、筆記が良かったんじゃないの?」
「そうかなぁ…でも、あのおばちゃん絶対おかしいよ!男の子の時はニコニコしてたのに、川本には冷たかったもん!
…でもね、試験って学力とかそういうのを見るんじゃなくてコミュニケーション能力とかを見るんだって。そこはアピールしてきたから大丈夫かなぁ?」
コミュニケーション能力…?
既に合格を決めているたっちゃんにそんな能力があるとはとても思えませんが、それは言わない事にして、あとは結果を待つのみです。
自分の事のようにドキドキしながら翌週の結果報告を待っていました。
恐惶謹言
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