恐怖は過去からやってくる
1-5話です。
蜜月の時、とても言いましょうか、まさに順風満帆な月日でした。
前回の記事はこちらです↑
月1のお泊まりは、もう慣れたものですが、彼女宅で飼っているネコにはものすごく嫌われていました。
玄関に靴を置いていたら、オシッコされていた事があったなぁ。
そして毎回夜は猿のように励んでいた訳ですが、付き合って三カ月くらい経った時の事です。
何回かした後、彼女は疲れていたのか寝てしまいましたが、まだ午前1時くらいだったし、もう少し…と鬼畜に思い、抱きしめてキスして起こそうとした訳です。
電気は消したままで、真っ暗でした。
「……ん?」
少し起きたので、そのまま続けようとしたところ、
「……いやっ!!!!」
いきなり跳ねのけられました。
「…ど、どうしたの?」
恐る恐る顔を近づけて聞いてみると、
「…ひ、…ひ、いやあぁぁぁぁ、やめてやめてやめて!!!!!」
突然の大絶叫。硬く腕を組んで丸くなる彼女。
…は?…なに?
どうする事もできないので、ひたすら落ち着くのを待つしかなく。
10分くらい経った後でしょうか。ようやく彼女が口を開きました。
「ごめ…、暗い所で…男の人と一緒だと…前に、襲われた時の事…思い出しちゃって…。」
…あぁそうか。
明るくふるまっていても、過去の恐怖は消えないんだ…。
今回は何かのきっかけで思い出させちゃったんだな。
いや、自分が100%悪いんですけど。
僕の胸の中で泣きじゃくる彼女の頭をなでなでしながら、さてどうしたもんかと思慮を巡らせます。
当時は心療内科などは一般的ではなく、心のケアなんて言葉も無く、知識が無い僕はとにかく見守るしかなくて。
…すー…すー…。
やがて寝息が聞こえてきたので、一安心。
さて、僕もこれで眠れる…訳もなく。
もはや臨戦態勢だった自分のムスコさんはなかなか収まらず、かと言ってセルフプレイを行う訳にも行かず。
一人悶々としたままTVの音を最小にして、ぼけーっとしていました。
あぁ辛い。
翌朝になると彼女はいつもの明るさを取り戻し、
「昨晩はホントごめんねーw」
なんて言っていましたが、これからは真っ暗の状態を避け、グローランプ(蛍光灯の横にある小さい電球)を点けておこうと密かに思ったのでした。
それからは平和な時期が続きます。
言葉を変えればマンネリです。
自分はと言えば、小さいゲーム会社で働く変わらない日々で、
学生だった彼女は就活をするようになり、色んな人と触れ合うようになります。
そして、親戚の紹介で会ったと言うタカシ(仮)の話をするようになりました。
「タカシはね、アイドルの〇〇みたいにかっこ良くてね、この前会った時にこんな話をしてね…」
「…ふーん。」
他の男の話をキラキラした目で言われても興味0です。
「何、妬いてんの?大丈夫だよ、私が好きなのはクーロンだからw」
からかわれるのは好きじゃないので嬉しくも何ともなく、どうでも良いやと思い始めた頃でもありますが、彼女もそれを感じ、付き合い始めのようなドキドキを復活させようとしていたのかもしれません。
そんなある日。
親が旅行に行く日であるにも関わらず、タカシ達と飲みに行くから、という事でお泊りが無しになりました。
まぁ、深夜になればいつもの様にチャットで話せるだろうと思っていたのですが、一向に来なくて。
嫌な予感がしたので携帯電話にかけても全然出なくて。
数日経ってやっと電話が繋がりました。
先週はどうしたの?と聞くと
「…先週ね、みんなで飲みに行った後、タカシを家に連れて来たの。そしてタカシと寝たの。…それでね、付き合う事にしたから…別れようか。」
…は?
もう頭真っ白ですよ。
何、結果として浮気したのコイツ?と憤る思いと共に、強がりでも無く、これで良いかと安心したのも本当。
だって、長く付き合ったのに、お互い「結婚」という感情は皆無に近かったのですから。
でも、悲しかったですけどね。
それは長い期間一緒にいた思い出が粉々になった感触。
3日くらい何も食べられなかったし。
気を紛らわせようと「失恋 いつまで落ち込む」なんてキーワードでググッたりして。
たしか失恋のダメージは3日で抜けるとか書いてあった気がします。
結果として、その通り4日目には食欲も戻りましたがw
彼女との話はこれで終わりではなくて、もう一波乱あるのですが、それはまた次回。
恐惶謹言
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終わったかと思いきや、やっぱり終わり。 - クーロンの自分語りブログ