妥協点はどこに?
2-28話です。
ちょっとムカついた気持ちでチャットしています。
前回の話はこちら↑
ぶっちゃけ、川本の彼氏はどうでも良くて、今の話の蚊帳の外であるさき5の意見を聞いてみたかった。
と思っていると、彼が発言をしました。
「今の状態だと、私が可哀想な状態だと思いますが…。さき5にとって、私は彼氏では無い為、彼女の自由を奪ってしまう事になっていますが、それが可哀想と言う事ですか?」
「はい。」
何となくお互いの論点のズレを感じながらも肯定の返事をしました。
自分が言えた立場で無いのは重々分かっていますが…なんか「自分が可哀そう」って男が言う言葉か?
そして、何故そこまで自分にチャットをする事を要請するのか、薄ら気持ち悪いものを感じたのですが、とりあえず最近は体調が本当に悪いので、チャットを今まで通り続けるのは厳しいものがある、と伝えました。
「さき5とHするな、と言われればしないようにしますが、さき5を説得する方法も考えて欲しいです。」
「じゃ、当たり前ですが、しないでほしいです。とにかく同じ事が無い事を信じてみます。私の精神的なダメージはかなり大きいので。」
「すみません。」
「お互い、さきに振り回されているんですね。」
謝罪の言葉を見て安堵したのか、心なしか発言が柔らかく感じます。
「とりあえず、薬は飲み忘れないように、川本にキツく言っておいてください。」
「忘れるのも1つの症状ですから、完璧は求められないです。」
…?
また一つ何か引っかかるものが感じましたが、今はスルーします。
「また、いつものような落ちですが、今まで通り友達として、川本やさき達と付き合ってください。」
そう言って、彼は席を外したようです。
「やほ。」
川本の発言だと思われます。
よりによって、第一声がこれとは。
「やほ じゃないよ、全く…。」
とりあえず、彼氏は席を外したようですが、事の重大さを当の川本は理解していない模様です。
「6年付き合って婚約した彼女が、他の男とHしたの聞いたんだからショックだろ。」
「うわぁ~、そう言われてみればそうだね~ショックだ~。」
「しかも、その彼女がHするのOKだしたと知ったらどうよ?」
「超ショック!!!…でも、川本の場合は普通じゃないし、別人格だし…。」
「じゃあ、彼氏が川本と同じように複数人格があって、その中の一人が他の女と寝たらどう思う?」
「あー…しょうがないと思うなー。」
何故ここまで温度差があるのかと考えてみると、
川本からすれば、さき5は「川本と同じ体を有するが、異なる人間」
我々からすれば、さき5は「川本と同じ体を有する異なる人格」
と言う感じで、認識に大きな差があるように思います。
この認識の差については、元々の環境が違うのだから、これも言ってしまえば「しょうがない」事。
ただ、自分としては、そう言う風に思える訳もなく、
「僕、すごい悪者扱いだなw」
「そんなことないよ~、悪いのはさき5。…悪くないか…、いや、誰も悪く無い。」
「罪悪感でいっぱいなんですけど。」
「罪悪感なんて感じる必要無いよ。」
当の本人からそう言われて、肩の荷が下りた、と当時の自分は思っていましたが、罪悪感をしっかり認識しておけば後々の騒乱を避けたのかも…と現在の自分は思っていたりします。
「今回、さき2が出たのは、さき1の意志かもね。彼氏いるのに、他の男とHしてるのはマズいって。」
「いや、そんな風には思ってないと思うよ。」
「じゃあ、なんでさき2が彼氏に伝えたか分かる?」
「秘密があっちゃダメだから。」
「一線を越えなければと言っていたけど、どこが『線』なんだろうね。」
「キスくらいならOKなんじゃない?」
…そんなバカな。。
「OKと思うなら、彼氏に言ってみな。」
「ちょっと聞いてくる。」
「キスからダメだって。」
「当たり前だろ…。」
「なんか、さき可哀想だな…。」
一体一番可哀想なのは誰なのか分からない不思議な状況ですが、夜も更けて来たので、その日はお開きとしました。
布団に入りはしましたが、色々と考える事が多すぎで寝つけませんでした。
起きてしまった事を悔いても始まらない。
状況としては、それほどには悪化はしていない(と思う)。
さて、これから、どうすれば良いのか…。
答えの出ないまま、眠りについていました。
そして翌日。
引き続き思考を開始。
とりあえず、あれが必要だな…。
まず、何をするにせよ、その相談を川本と話している(チャットをしている)状況を彼氏に見られては意味が無く、そしてそれを早急に行わなければならない。
思い立つが吉日。
川本と連絡を取り、直接会う事にしました。
恐惶謹言
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